翔ちゃん先生の犬の飼い方コラム

第5話

問題行動

犬の五感を考える

犬の五感について

犬の感覚といえばすぐに嗅覚が思い浮かびます。他の感覚も人間とはやや異なるようです。
今回は犬の五感を取り上げてみます。

触覚

触覚は子犬の健全な発育になくてはならない感覚です。そして犬の一生を通じて嗅覚と同様にとても重要な感覚です。「犬の触覚を刺激する」とはなんでしょう。それは撫でまわすことです(ブラッシングも含む)。

この触れ合いは犬を落ち着かせるために絶大な効果があります。飼い主さんとの信頼関係を作るのにも大切です。ベタベタとやってあげましょう。

最近は犬のマッサージなどもあります。これも有効でしょうね。ドッグ・マッサージチェアなるものがそのうち発売されるかもしれません。新しい物好きの我が家としてはすぐに飛びつくことでしょう。

嗅覚

犬と言えば嗅覚です。出生時から発達している感覚です。そりゃそうです。か弱い赤ん坊が母犬の匂い、お乳の匂いを嗅ぎ分けることは、生きていくためには必須のことです。

物質によっては人間の感じる濃度の1,000倍~1億倍まで薄められた濃度でも嗅ぎ分けることができます。また、犬の嗅覚は人間の視覚に相当する鑑別力があるといいます。

もしかしたら、犬は人間の行動、そしてその奥に潜む情緒・思考をも“におい”で嗅ぎ分けているのかもしれません。

そう言えば、ベス様は偏頭痛持ちのかみさんの不調をいち早く知ることが出来たなあ。気分が沈んでいるときは慰めに来てくれたなあ。夫婦喧嘩・親子喧嘩の仲裁も上手だったなあ。

味覚

人間でもそうですが味覚の感覚器官は舌にある味蕾(みらい)という器官です。犬に最も豊富に認められる味蕾は、糖に反応するものであり、次に酸に反応するものです。

塩分を感じる味蕾は全体的に欠けています。肉を好む犬族です。肉の中の塩分はバランスが取れており、塩分を気にする必要はないのでしょうね。アミノ酸・核酸に対する味蕾が発達していることは、肉を肉として味わっているともいえます。犬の好みからいえば、牛肉、豚肉、ラム肉、鶏肉、馬肉の順で嗜好性が高いそうです。

糖に反応する味蕾が多いというのが曲者です。奴等は甘いものが結構好きです。かといって与えすぎると肥満が待ち受けています。味に対する嗜好性は若いときからあります。

離乳後、さまざまな物を混ぜた食べ物で育てられた犬は、好き嫌いが少なく、初めて目にするものでもなんなく受け入れるようです。

視覚

生後2週目になるとようやく目が開きます。最初は光や動く物をやっと認識できる程度ですが、生後4週目に入るころには成犬並みの視力となります。

犬の視覚は人間と大きく異なります。光や動きに敏感ですし、遠距離にある物も比較的よく見えています。しかし、ごく接近した物を見る能力は劣っているようです。

また、目が横についていますので、横にある物がよく見え、真正面の物は見えにくいようです(ただし、正面に目のある犬種は少し違ってきます)。

夜間視力も人間よりはるかに優れています。犬は夜行性動物ではありませんが、日の出前、日没直後の行動にはこの夜間視力が絶大な力を発揮します。

それから、犬は色を認識できないと思っていましたが、白黒だけではなく、基本的な色を見ることが証明されているそうです。

聴覚

生後2週目になると耳が聞こえるようになります。生後4週になると成犬の特徴を示し始めます。つまり、成犬のように姿勢を正したり、方向感覚ができたりしてくるのです。

犬は人間の限界を4倍も超えた距離からの音を聞き取ることができますし、人間より高い音が聞こえます。どうもこの聴力は狼に由来するようです。狼が獲物とするネズミ類の鳴き声は非常に高音です。これを聞き取って獲物を見つけることができるのです。

また、耳がよく動きます。耳を動かして、周囲の音をチェックし、小さな音でも拾うことができるのです。いろんな音を聞き取り、その情報を処理しなければなりませんので、犬の脳で聴覚にかかわる部分は人間より多いようです。もしかしたら、音楽を聴いたときの感動は犬の方が大きいのかもしれません。

第六感(シックスセンス)

犬には地震予知能力がある、迷い犬が遠くの見知らぬ土地から自宅に戻った、亡くなった飼い主のお墓を教えもしないのにちゃんと分かった…などの話を聞くことがあります。

人間の理解を超えたものは、超能力、あるいは第六感と、私達は総称しています。以前は理解できなかった犬の能力が解明されていくにつれて、だんだんと犬の第六感が否定されていくように感じます。

しかし、私達が理解できない能力=“動物の内なる知恵”を犬が持っていることも認めてあげたいなと思っています。夢があるじゃないですか。