ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.171 小型犬の出産

今月の上旬にDOGWANにてトイプードルの子犬が産まれました。その出産についてのお話をしたいと思います。

※今回産まれたての写真や胎盤の写真があります、苦手な方はスルーして下さい。

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今回お産したのは、2.8キロのタイニーサイズのプードルのこつぶです。こつぶの出産は今回で3回目となり、かなりベテランにはなってきたものの、こつぶは2キロ代後半サイズで小ぶりな為、お産は必ず介助が必要となり毎回緊張が付き物となります。

そして、驚いた事に今回はおなかの中にはなんと4匹も赤ちゃんが入っていました。この小さな身体に4匹もいるとは、お産での体力も消耗するのでは?と不安もよぎります。

その為、妊娠中は筋力を低下させないよう、適度な運動、肥満を予防するための食事管理、栄養管理、そしてストレスを与えないよう母犬のコンディションも万全にする事も大切なので、ドッグランでのフリー運動もかかさず行うようにしてきました。

妊娠62日を迎えた頃、体温が下がり約12時間後に陣痛がスタートしたのですが、第1子めの子の頭が見えた所で止まってしまいました。

この時点ではまだ破水はしておらず、ここで母犬に任せて膜を噛んで破水をさせてしまうと、窒息や誤嚥、肺炎になりやすくなる為、できるだけ破水は母犬にさせず、子犬の体が出てきた時に人が行うようにします。

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子犬の頭が少し見えた時に母犬の尾を持ち上げ、見えている羊膜を手前に誘導させていくと、次の陣痛が来た場合、それが微弱な陣痛だったとしてもグっと強くなり、お産が進みます。3度ほどいきみが出た時と同時に羊膜をつかみ下に向かって絶妙な力加減で引きだしてあげると、力の無い小型犬でも上手に娩出します。

娩出した後も母犬に任せて放置ではいけません。この時口や鼻に羊水が詰まっている事があるので、すぐに吐き出させ、ガーゼで拭い呼吸を促します。

子犬が産まれる順番として 尿膜→羊膜+子犬→胎盤の順に出てきます。

子犬が出たのに放置したまま胎盤が出るまで待っていたり、母犬に羊膜を破かせるまで放置すると、呼吸ができなくなり危険な状態になる事が多くあります。子犬が娩出されたら羊膜を人の手で破膜し、口の水分を拭き取り、呼吸をさせてからへその緒を縛り胎盤と切り放します。

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※白黒にしてますが、苦手な方はスルーしてください。

写真は羊膜と胎盤です、この中に子犬が入っていました。

ここで、最後に出てくる胎盤を子宮に戻してしまってはいけないので(感染の原因となる)胎盤を確実に子宮から取り出す為、カンシで挟んでおくと子宮に戻って行かないので、すぐにへその緒から切りはなす事もできて便利です。

今回の出産は私ひとりではなく、ベテランの動物看護師さんも一緒に介助を手伝ってくれたのでとてもスムーズに行えました。何せ今回は子犬の頭数がいるので、できるだけ母犬の負担にならないよう介助とへその緒と胎盤の処理の早さが重要となります。

その後こつぶの出産は介助を行いながら、こつぶが疲れる事もなく4匹をなんと!2時間半のスピード出産で無事に産ませる事ができました。

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ブリーダーを始めて今まで6回の出産がありましたが、一度も残念な結果になった子犬は1匹もいないのと、奇形のような子も出た事はありません。

しかし、このように4キロ以下の小型犬の出産ではみんな無事に産まれました!と言える事はそう多くなく、残念な事になるケースもよく耳に入ります。

出産は命がけ、無事に産まれるのは奇跡…と言いたい所ではありますが、安全な介助、知識、技術はある程度子犬の生存率を上げるのではと私は思います。

特に一般家庭で可愛いからと言う理由で出産させてしまった場合も、無事に産まれればいいのですが、残念なケースになってしまう事もあるのでじっくりと勉強してから出産に立ち会う事を願いたいものです。

救える命を少しでも多くする為に、安易な出産は慎重に…。