ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.157 シニア犬に向けての心得

我が家には犬が9頭います。その中でシニア犬は13歳のボーダーコリー、8歳のウィペット、7歳のトイプードルとシェパードがいます。気がつけばシニアを迎えた犬たち…。人は1年の年を取ってもさほど大きくは変わりませんが、犬の場合は人の7倍のスピードで時間が過ぎていくので、ある日突然、衰えがやってきます。

我が家で現在1番の長老は13歳のボーダーコリーですが、つい先日まで視力に衰えは無かったのですが、ボールを投げた時に深緑色のボールは無視したり、追いかけても見失う行動がみられました。試しに色を変えて赤のボールを投げた所、見失う事もせず、パーフェクトに探し出して持ってきてくれました。

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耳も遠くなってきてジェスチャー(指付)でコントロールする事は可能なので合図を大げさにしています。このように何かが急に苦手になったり、呼びかけにあまり反応しなくなる事が、ある日突然あるかもしれません。

この時にどう対処してあげると、犬は過ごしやすいか?伝わりやすいか?を考えると犬にとって不便を感じる事なく老後を過ごさせてあげる事ができます。我が家のボーダーは何を投げても拾ってきてくれるので、ボールの色が分かりにくかった事には驚きましたが、犬は赤や黄色に反応しやすいので、暗い色のボールは使わず見やすい色を選んであげる事により、解決につながりました。

老犬なのでこれから年月が経つ事に様々な変化が訪れるかもしれません。いつまでも若いまま、と思っていたら実は身体の中では大きな変化が現れてきています。人の感覚で自分の愛犬を見ているとあっという間においていかれる事もしばしば…出来る事が出来なくなってくるのもこの時期になります。犬本人も老化に気が付かず爆走して疲れてしまう子も少なくありませんので、制御出来るのは飼い主の役目でもあります。

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我が家の8歳のウィペットはディスクドッグとしてかなりのアスリート犬なのですが、8歳を迎えて少しだけ心臓の衰えがみられました。走るとかなりの爆走をするのですが、その後は疲れて寝っぱなしになる事が増えてきました。やはり老化がスタートしてきているので、毎日していたディスク遊びを週1回 5分程度に抑えた所、疲れる事もなく安定した生活を過ごしています。

本人はまだまだ遊びたがっていても、決して続けて遊ばず、「犬の気持ち」ではなく、「犬の身体に聞いてあげる」事が大切になります。

若い時はバリバリ運動していたから、今もまだ元気にしているから大丈夫!は、見た目だけで、シニア犬の中身はかなりの疲労が出てきている事に気がついてあげる事が大切です。

シニアの犬達は、外のお散歩も「30分朝と晩に歩く」から「オシッコウンチをしたらすぐお家に帰る」パターンに変えて、心臓や関節に負担がかからないように毎日の運動も制限するようにしています。13歳のボーダーは若い時に重度の股関節形成不全を発症し、将来歩けなくなると言われる程でしたが、適度な運動と行動の制限をする事により、13歳の現在でも走ったり歩いたりする事は可能で、維持もできています。

とても元気な子で、走らせたら永遠と走っている子でしたから、制限なく走らせていたら現在は車イスの生活だったに違いありません。

行動の制限には階段を登らせない、ジャンプさせない、ハウスでの生活を慣れさせる等を行っていました。若い頃はどうしてもハッスルしたがりますので制限は大変でしたが、こうやってシニア期を迎えて小走りで走れる姿を見れるのは、頑張った甲斐があったなぁ…としみじみ感じます。

今、大丈夫だから好きな事を好きなだけさせる!というのもいいのですが、将来を考えて、どのようにして余生を楽しく快適に過ごさせてあげる事が出来るのか?

今、何をしたら将来の為になるのか?

愛犬のライフスケジュールを一度イメージして計画してみてもいいかもしれませんね、突然の変化にも気持ちよく受け入れる事ができるように。愛犬と共にどんと構えて行きましょう。