ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.156 犬の1歳までの経験は一生物になる?

前回のコラムではパピーパーティーが必要である事、そして社会性の大切さについてお話させていただきました。今回は、子犬の時期から1歳の成犬になるまでに何が必要なのか、どれだけ犬の心が成長するのかをお話したいと思います。

生後1ヶ月から色々な物を吸収します
子犬は離乳食が始まり、食事を噛んで食べるようになるのが生後1ヶ月頃から、それと同時に噛んで物を確認する事も覚えていきます。

この食べ物を噛むという行動からスタートしていき、次第に食べ物以外の物を噛んで確認するようになります。そして触れる物を全て口にいれて確認していきます。

犬にとって、この噛むという動作は成長の証であり、無くてはならない物となります。兄弟犬同士で噛み合い、相手は敵ではない事も確認し、ベッドやおもちゃを噛みこれは何か?を勉強していきます。

歯が生え始めるとその行動はどんどんヒートアップしていき、母犬の口や耳に噛み付いたり、兄弟犬とのじゃれ合いも激しくなります。唸り声を出したり、小さく吠えたりもしますし、兄弟同士で噛み合うので加減が分からず耳に小さな傷跡もつくほどに…。

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一見大丈夫かな?と思いますが、ここからが子犬にとっての貴重な経験となります。この時期から兄弟でじゃれ合いを十分にさせないと将来、飼い主に対するじゃれ噛みも激しくなり、落ち着かなくなっていく事もあるので、兄弟同士のじゃれ合いは沢山させてあげましょう。

母犬から学ぶ事
子犬が大きくなるにつれて、母犬が子犬を避けるような行動をしていきます。ごはんを譲っていたのが、子犬に譲らなくなってきたり、要求に対して無視をするようになります。次第に子犬は母犬から離れていくようになり、親離れが完成していきます。

母犬は食べ物を横取りしない事、ひとりでも寂しくない事、要求しない事を子犬にこのように教育し、離れさせて行くのです。

実はこの母犬から教わった経験は一生残ります。成長した子犬は物を守らず、甘噛みも少なくなり、安心感に満ち溢れた生活を送れるようになるのです。

子犬をもし迎える事になった場合は兄弟や母犬と生後3ヶ月まで生活している子をオススメします。

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人に触られるトレーニング
人の手は母犬とは違う感触なので、子犬にとっては遊び道具であり、手は人間とつながってる物とは認識しません。ここからが飼い主さんの腕の見せ所になります。

この時期にどれだけ子犬に触っているかで将来が大きく変わっていくので、子犬の身体に触れるというトレーニングはできるだけ早い時期から行うようにしましょう。特に本能で守ろうとする耳、口、足、尻尾は毎日常に触るように心がけてください。

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理想の犬と遊ばせる
犬は先輩の行動を見て真似をしたり、信頼していこうとします。ここで、落ち着きのない気性の激しい犬とばかり合わせていると、その犬と同じ行動を取るようになり、落ち着きのない犬になる事もあります。

例えば、穏やかで落ち着いている犬になって欲しいのであれば、そのようなタイプの子と合わせる機会を増やしていきましょう。万が一威嚇されたり、噛まれそうになった場合はそのままにせず、子犬に対してすぐオヤツなど気が逸れるような物を与えましょう。

怖い事→そのまま→トラウマになる

怖い事→オヤツ→怖い事があっても良い事がある

と言うように、怖い事があった場合はすぐに子犬をフォローするようにしましょう。子犬の時にあった怖い事は一生心に残ってしまう事があるので、できるだけ慎重に犬同士を合わせるよう心がけましょう。

良い事を褒めて伸ばす
子犬の時代はイタズラばかりで叱る事が多いのではないか?と思いがちですが、実は褒める事の方が多いのです。

・ごはんの時に寄ってくる・トイレの成功・甘噛みした時に手ではなくおもちゃを噛んで遊ぶ・チャイムで吠えない

など…。

しなかったからいいや…

ではなく、将来問題になるかも?しれない事を子犬の頃からの「予防しつけ」でどんどん褒めていく事により、こんなはずじゃなかった…を回避する事ができるのです。

迎えた子犬は伸びしろが沢山あるので些細な事でも流さずに気づいてあげて、褒めて伸ばすようにしてみましょう。

そうする事により、成犬になった時にとても手のかからない落ち着いた犬になっているはずです。