ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.151 成犬になっても社会化トレーニングを

犬は生後1ヶ月頃から3ヶ月頃までは社会化期と言って親犬や兄弟犬たちと触れ合い、挨拶や警戒心、攻撃の制御や回避等のコミュニケーション能力を身に付ける時期とも言われています。しかし、現実は必ずしもこの時期まで母犬や兄弟犬と一緒に過ごせる訳ではなく、ショップから家にやってくる子犬の8割は生後1ヶ月ほどで親犬や兄弟たちと離れてしまう場合が多いのです。こうなってしまっては、本来社会化期である生後約3ヶ月までの経験は白紙となってしまう事に…。

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生後1ヶ月~自我が芽生え、ヨチヨチながらもじゃれ合いを始めようとします。触れるもの何でも噛んで確認する素振りをしたり、母犬から指導を受けるのもこの時期からスタートしていきます。まだこの時期はほんの始まりに過ぎないので、噛んでいいもの、食べていいもの、授乳の感触、全てごちゃまぜ状態といってもいいでしょう。

生後2ヶ月になってくると、歯もどんどん生えてきて母犬が子犬に授乳をさせないようにする為、冷たくなってきます。この頃から本格的に母犬からのしつけが始まって行くのですが、丁度子犬がショップにデビューするのがこの時期にもなります。

この時期がとても大切な時に離れてしまうと、大幅に社会化に遅れを取ってしまい、のちに社会化不足となり、警戒心の強い犬になる事も。この時期に人がトレーニングを行い、取り返すとなると月齢の倍の時間を要すると言われています。2ヶ月なら4ヶ月、3ヶ月なら6ヶ月と、言うように、犬同士であれば早く終わる社会化期でもあるのですが、母犬から離されるのが早い子犬であるほど、時間はかかってしまいます。

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親から早く離れてしまった子犬は家に来たらすぐに社会化トレーニングを
写真のように生後2ヶ月頃から母犬は子犬に食べている物を見せつけるようになり、子犬は譲る事を覚えていきます。奪おうと近づいた子犬は母犬から注意を受けるので自然と奪わない、食べ終わるのを待ち、譲れる犬に育っていくのです。よく食器に手を入れたら飼い主に噛みつく、ガムやおもちゃを取り返せられず唸ってくる。と言う行動は明らかに、母犬からの社会化教育不足となります。では、そのような場合、飼い主さんはどのような対応を子犬にすれば良いのでしょうか?

社会化は一生つづく…。
1度大丈夫だからと言っても犬だって生き物です、もう大丈夫だ!と安心して、長い間何もしなければ、忘れたり、急に嫌になったりもします。冬を超えて夏になり、人の多い場所に連れて行くと、去年にはなかった警戒心が出てくる事も…。

2歳~3歳は最も犬が若々しく強くなる時期、この時に警戒心が更に強まったり、性格の変化も現れやすくなる時期とも言われているので、結果的には社会化期は一生のつもりで犬に色々な経験をさせてあげる事が大切ですね。いつまでも守ってくれる頼れるパートナーである為に、楽をする事は禁物ですが飼い主さんとワンちゃんが一緒に成長する事によりお互いの幸せにつながるでしょう。