ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.175 音に怖がる犬への克服

今回は昨年DOGWANの仲間入りをしたオーストラリアンケルピーのおはぎのお話をしたいと思います。

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現在おはぎは1歳と4ヶ月を迎え、DOGWANに来てからもうすぐ1年が経とうとしています。

聞き慣れないこの犬種は名前の通り原産国はオーストラリアで牧羊犬として活躍している犬でもあるのですが、日本ではまだあまり知られていなく、飼われている数も少ない犬種です。性格は穏やかで飼い主に忠実、頭が良く、勇敢で、疲れ知らずのスタミナの持ち主とも言われています。

おはぎは生後5ヶ月を過ぎて少し大きくなってからDOGWANに来たのですが、出身が訓練所という事もあり、社会化も完璧に完了した状態で来ました。

人や犬に対する反応もとても良く、興奮することも無く静かに挨拶が出来るおりこうさん。イタズラらしいイタズラもせず家庭犬としては生活する上で何ひとつ問題のない良い子です。

しかし、困った事がひとつだけ発覚…。車のエンジン音が怖いのです。

路上にてお散歩トレーニングをしようと我が家に来て初めて外に出た時に、車が目の前を通った瞬間、身体を伏せて耳を倒し尾を内股に入れて物陰に隠れ逃げようとします。パニックにはなりませんが、震えが止まらずその場でフリーズとなりました。勿論オヤツも食べません。

この子は車がキライなのかな?と思っていたのですが、動いていない車には反応せず。。

色々とテストをしてみた所、テレビで鳴る乗り物の音 スマホから出た雷の音 物が倒れた音 ヘリコプターや飛行機の音等…テレビでは音を消すと逃げる事はなく、音を出すと震えてフリーズするので、全て「音」に対する反応と判断できました。

まだ5ヶ月、音を録音し沢山聞かせてごはんを食べさせる事により改善していくと思われましたが…。音を聞かせ続け、更に3ヶ月経過してもさほど変わらず…。聞けば聞くほどトラウマのような状態になり、身を隠すようになりました。

おはぎはいわゆる「ガンシャイ」である事が分かりました。

ガンシャイとは音に対し警戒心があるタイプの犬、主に猟犬に使われる言葉で、銃に対する音に怖がってしまう犬をさしていますが、家庭ではそのまま「音シャイ」と言っても良いかと思います。

後天的な場合はわりと慣らしとフードですぐに改善されますが、産まれ持った警戒心の場合はとても時間がかかり、猟犬にさせる過程では諦めてしまう指導主も多いそうです。

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おはぎが目指すのはフリスビー大会でもあるので、家庭犬としては完璧ですが、外に出て大会で鳴るスピーカーからの音楽やマイクのアナウンスに慣れて貰わなくてはいけません。

勿論、大会は外なので天候も左右されます。ヘリコプターや雷の音、車も通過する事も時々あるので、何が起きても物怖じしてはいけません。私はあえて諦める事はせずシャイな子に対し、何ができるだろうと考えました。

●外でごはんを食べさせる
●怖い音を毎日続けない
●外で遊びながらオヤツを食べてもらう
●苦手な音に集中しないくらい大きな声でテンションをあげる
●オスワリやフセで気をそらす
●好きなおもちゃオヤツを与え続ける

まず、朝ごはんは室内で食べさせず、車通りのある場所で食べさせるように習慣付けてみました。始めはごはんを食べなかったのですが、今日は手から少し、という風に少しずつ食べれるようになり、徐々に時間を長くしていきました。

次第に車が横切っても食べる事に成功!!

食べ終わるとすぐに慌てて家に戻ろうとしますが、フードを残しておき食べさせながらオスワリやフセをさせて気をそらし、急がずゆっくり家路に向かうトレーニングも入れていきます。

始めは食べてくれるだけでも十分なのですが、少しずつ遊びも入れていきます。

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室内では一切遊ばず外でだけ遊ぶ習慣もつけていきます。

この時はあえて音を聞かせる事はせず、自然に周りから聞こえる音からスタートしていくと気にしない事も多くなりました。

元々のシャイな子は始めに「音」から入るとより駄目になる事も多いので、本人が楽しいとして要求する物から入るとスムーズに行えて気にならなくなります。

「慣らすの」のではなく「気をそらす」という方法

恐らく、慣らすのはかなり時間のかかる事ではあるように感じます。好きな事を増やしていき、気をそらして夢中になれば音も気にならなくなるのではと思います。

現在もまだまだ本人が何の音が怖いのか判明できていない所もあるので、進行系にておはぎのトレーニングを続けています。

この春から大会シーズン突入ですが…果たしてシャイは改善されていくのか私への課題でもありますので頑張っていこうと思います。