翔ちゃん先生の犬の飼い方コラム

第9話

問題行動

分離不安のはなし

大変なお気持ち、お察しします

本日から「分離不安」を何回かに分けて取り上げます。
分離不安も情緒が絡む問題行動です。まあ軽い恐怖症です。

あのう「軽い」と書きましたが、大型犬の分離不安による破壊行動は相当なものです。
大型犬飼育の飼い主さんはご覚悟を・・。

1.基礎編 その1

分離不安は愛玩犬に多いといわれています。
また、分離不安に関する相談は純血種より雑種で多いともいわれます。
愛玩犬ではかわいがられ過ぎが原因でしょう。
飼い主さんへの依存心がとても強くなった結果だと想像できます。

「雑種に多い」との報告は米国での報告です。
米国では動物保護施設から雑種犬を貰い受けることが多いと聞きます。
過去に経験した飼い主さんとの悲しい別れが災いしているのかもしれません。

実際、飼い主さんと別離を経験した犬では、新しい飼い主さんに対して不安定な愛着関係しか形成できない可能性もあります。
それから分離不安の程度には犬種差もあるようです。我が家の場合、複数のマラミュートとコーギーを飼育しましたが、分離不安が見られたのはマラミュート三人衆でした。

母犬が心配性であったり、不安定な性格であったりした場合は、子犬は正常な愛着関係を確立できず、母犬と分離されると異常に苦痛を感じるようになります。

これが将来の分離不安につながることもあります。子犬が新しい飼い主さんにもらわれていくことは、慣れ親しんだ安全な場所からの別離です。子犬にとってはやはり苦痛なものです。
しかし、このことが新しい飼い主さんとの絆を深めることにもなります。

さて、まずは我が家の分離不安顛末記をお話しましょう。

「奴らは曜日の観念があるのかな?」と思うほど、必ず木曜日に事件が勃発しました。
月曜日からの留守番に飽きてくるのが木曜日だったようです。木曜日の帰宅はビクビクものでした。

外出時の分離不安への対処法は、何気なく出かける、短時間の外出から始めて長時間へ移行させる、ラジオをつけておく、飼い主さん自ら規則正しい生活をするなどなどで、要は飼い犬に「飼い主さんは必ず戻ってきてくれる。

それまでは自分の時間を楽しもう」と思わせるのが秘訣です。
危険な時間帯(外出後30分以内)におもちゃを与えて、気を紛らわせるようにすることも対処法の一つです。

こう書くと簡単そうですが、我が家でやったことを列記しただけで、実を言うとどれとして確実ではありませんでした。
「分離不安の矯正は簡単なようで難しい」というのが経験から得た結論でした。

家族との絆をとても大切にするマラミュ-トです。
分離不安も仕方がないか・・と私は思っています。その上我が家の特殊な事情も影響しています。
つまり、室内飼育であること、共働きであること、昼間は自由行動が制限されることなどです。

ほとほと困ったことはありません。
いや、家が破壊されても「しようがないなあ~」で終わってしまうので悩まないのです。

一応いろんな手立てを駆使してみましたが、結局は年齢、あるいは時間が解決したように思います。
ベスとボビーは2歳を過ぎた頃から(大人になってから)落ち着き、まったく悪さをしなくなりました。

単に怠け者になったとも考えられます。
冬馬は我が家にやって来て2年が経過した頃から落ち着き、分離不安による問題行動も影をひそめました。
信頼関係がきちんとでき上がったのかもしれません。

2.基礎編 その2

「犬が不安になった場合は?」…すぐに思い浮かぶのが、“分離不安(別離恐怖症)”です。
この場合の“分離”とは飼い主さんと飼い犬が離れた状態を指します。

飼い主さんが外出したときによく見られる様々な問題行動は分離不安によるものです。
なお、分離不安についてはもう一度詳しく取り上げる予定です。ここでは概略を紹介します。

誘引
飼い主さんの生活パターンが変わるいつも家にいたお母さんがパート勤めを始めたとき
中断していた学校や仕事が再開する長い自宅療養の後、飼い主さんが仕事に復帰したとき。夏休みが終わり、一緒に遊んでいた子供が学校に行き始めたとき
新しい家への引っ越し転勤で別の土地に移り住んだ時
環境が一時的に変わる事情があり、友人の家に一時的に飼い犬を預けたとき
ペットホテルに預けられる飼い主さんの旅行のため、ペットホテルに預けられ家に戻ってきたとき
赤ちゃんが生まれたとき赤ちゃんがかわいくて、犬に注意・関心を向けなくなったとき

飼い犬を一人ぼっちにさせたときの問題行動は、主として「吠える、泣く」、「物を破壊する」、「排尿・排便をする」の三つに集約されます。

いずれも犬が不安を感じ動揺することが原因です。
理論的には特殊な状況下での興奮行動に属すとされています。それぞれについて説明します。

1.吠える、泣く

飼い主さんが出かけた直後に、大きな声で泣いたり、吠えたり、遠吠えをあげたりします。
飼い主さんにパック(群れ)に戻るように呼びかけているのです。

「お~い、戻っておいでよ~、一人にしないでよ~、寂しいよ~」…てな具合です。

少し甲高い泣き声です(犬の大きさ、状況によって、音の高低に差があります)。
出かけた後ですので、飼い主さんが気づかないこともあります。

しかし、ご近所にははなはだ迷惑なことです。
「お留守のときに○○ちゃんが泣いて泣いて大変でしたよ、なんとかしてください!」とのクレームが寄せられ、初めて気づいて困り果てることもあります。

我が家のマラミュートにはこれがありました。マラミュートは元来「ワン、ワン」とは鳴きません。
分離不安での泣き方も「ワォ~ン、オォ~ン」という遠吠えです。

最も烈しかったのは冬馬でした。地獄の底から聞こえてくるような遠吠えでした。
開いた窓に向かって遠吠えをあげるという器用さも持ち合わせていました。

2.物を破壊する

ドア・窓を引っかいたり、床・壁を引っかいたり、カーペット・ソファーを傷つけたり、靴をバラバラにしたりします。

これも理解できます。ドア・窓は唯一の逃げ道です。
なんとか一人にされることから逃れ、さらにパックに合流しようと考え、逃げ道を必死に探しても不思議ではありません。

ドア・窓がダメなことがわかると、欲求不満から他の物に八つ当たりします。
転位行動です。飼い主さんの匂いを求めての行動でもあります。

小型犬ならまだしも、大型犬では家自体が崩壊していきます。
我が家の破壊魔はベスとボビーでした。

冬馬には烈しい破壊行動はありませんでした、少なくとも我が家に来てからは…。

網戸を破って逃走し、駐車場でのんびりとお昼寝をされていたことが1回、お風呂場の網戸をバラバラにしたことが1回あっただけでした。

3.排尿、排便

不安が昂じて、所構わず排尿・排便が見られることがあります。
これも一種の転位行動です。自分の匂いを充満させることで不安を解消しようという行動かもしれません。

ベスとボビーにはこれはありませんでした。
冬馬は洗面所の決まった場所におしっこをしていることがありました。
実は洗面所から玄関先へ行くことが出来ます。
奴の心情がなんとなくわかります。

我が家では「ポテンヒット」と名付けていました。

3.応用編 原因

今日は分離不安の原因を考えてみます。まずポイントを示し、それぞれを具体的に説明していきます。

[原因のポイント]
  • 社会化の進んだ犬であるからこそ
  • 遺伝的形質として
  • 経験が不足して
  • 家庭環境が激変したので
  • 飼い主さんが無意識に強化して
  • 飼い主さんとの関係がおかしく
  • 社会化の進んだ犬では・・

元来、犬は群れ生活をし、社会化の進んだ動物です。一人ぼっちになることが嫌いです。
子犬時代に、一匹だけで寝たり、何かを噛んで暇つぶしをしたりして、だんだん一匹でいることに慣れていくものです。
しかし、それを学べていない犬がいることも確かですし、あるいは学べていても、欲求不満の“はけぐち”を求めて、飼い主さんが困ってしまう行動に走る犬もいます。

遺伝的形質

一人ぼっちになったときの犬の行動は千差万別です。
好きなことをしながら、飼い主さんの帰りを待つ“いい子”ちゃんがいるかと思えば、ただただ泣き叫び続ける奴もいます。

烈しい破壊行動をする奴もいます。
個々で不安の表現方法が違うようです。
これらの行動特徴は持って生まれた遺伝的形質を反映しているときもあります。

少し甲高い泣き声です(犬の大きさ、状況によって、音の高低に差があります)。
出かけた後ですので、飼い主さんが気づかないこともあります。

経験不足

多くの犬は子犬時代に一人ぼっちにされることを経験します。
子犬がやってきた日のことを思い出してください。

夜になり、一人ぼっちにさせたとき「ク~ン、ク~ン。キャイ~ン、キャイ~ン」が始まりませんでしたか。
でも、一週間もすれば一匹で寝ることに慣れてしまいます。

分離不安を示す犬は一人ぼっちになった経験が不足していることが多いようです。

家庭にやってきた初日から飼い主さんの寝室で眠り、昼間も誰かしらが家にいて、どこかに出かけるときにもご同伴となれば、突然一人ぼっちにされると、不安で不安でしようがなくなるのは当然のような気がします。

最も烈しかったのは冬馬でした。地獄の底から聞こえてくるような遠吠えでした。
開いた窓に向かって遠吠えをあげるという器用さも持ち合わせていました。

家族環境の激変

家族環境が激変したときに、分離不安が突然始まることがあります。
その具体的な誘因は前回紹介しました。

冬馬の“寂しいよコール”がぶり返すのは、春・夏・冬休みが終わり、娘が学校に行き始めたときでした。
二、三日は続きました。

トラウマとなる不快な経験

一匹でいるときに、耐えられないような不快な経験をした犬が分離不安を示す場合があります。
例えば、留守番中にとても激しい雷雨を経験したときです。我が家のベスは雷が大嫌いでした。

そういえば、我が家にやってきた次の夏はひどい雷雨が多かったように思います。
まあ、その前から破壊行動は始まっていたのですが・・。

飼い主さんの無意識の強化と外部刺激

飼い主さんがよくやることです。
玄関を出て、外から様子をうかがい、泣き出すとただちに家の中に戻り、「ダメよ、静かに留守番しなさい」です。

泣けば飼い主さんがすぐに戻ってきてくれると犬は誤解していませんか。
さらに叱り方が十分でないと、「ちょいと不安なときは、一応、泣いておくか。
そうたいして叱られもしないし・・」と、犬は考えているかもしれません。

一匹にされた犬が泣き始めます。親切なご近所の人が外から声をかけます。
「大丈夫よ、お母さんはすぐに帰ってくるよ。おとなしく待っているのよ」
…すると犬は「泣くと優しいおばさんが声をかけてくれるんだな」と思い込みます。
留守番のたびに泣き叫ぶことになります。

飼い主さんの帰りを想像させるような音が分離不安を強化することもあるようです。
人が近づいてくる音、車が通る音、エレベーターの動く音などです。

いずれも飼い主さんが帰ってくるときと同じような音です。
そんな音を聞いた分離不安の犬は、音がするたびに飼い主さんの帰宅を期待し、
そしてほとんどの場合が裏切られます。
寂しさがさらに増します。悪循環です。

飼い主-飼い犬間の問題

分離不安から、泣き叫んだり、ドアを引っかいたりする犬は、飼い主さんに何かを要求し、そしてその要求がかなえられていることが多いようです。
つまり、わがまま放題を、飼い主さんが許していることが多いのです。

4.応用編 一般的対処法

分離不安の原因は様々です。複合原因もあります。
それぞれの原因に沿った対処が必要です。

本日は分離不安の一般的対処法を考えてみます。
まずポイントを表示し、それぞれを解説します。

[一般的対処法のポイント]
  • 留守番を連想させない
  • リラックスできる環境を与える
  • 運動でストレスを解消させる
  • 時間つぶしを与える
  • 効果のない方法はやらない
  • 飼い主の間違った対処を正す
  • 飼い主-飼い犬の関係を改善する

問題が発生した状況を避ける

「短時間だけ留守番をさせる矯正訓練中を除き、一人ぼっちにしないこと」がポイントだそうです。
「一人ぼっちにするな」といわれても、我が家のような共稼ぎ夫婦ではどうしようもありません。
確かに一人ぼっちにしなければ分離不安に陥ることもありませんが・・。

犬は飼い主さんのちょっとした仕草を留守番と結びつけて考えることが多いようです。
飼い主さんが着替えたら、ハンドバックを持ったら、車のキーを持ったら、次には一人ぼっちにされると連想していくのです。

そして、不安感が徐々に増してきます。これには対処できそうです。

別室で着替える、ハンドバックやキーを玄関先に置いておく、つまり犬が不安感を持たないように見えないところで外出の支度をするのです。
犬が他のことに気を取られている間に別のドアから外出するのもいいですね。

我が家のボビー&三四郎は、休日明けの朝は不安そうな顔をします。
何気なくさりげなく出勤することを心掛けています。

犬が落ち着くような環境を与える

リラックスできるような居場所が確保できるといいですね。
つまり、不安ではなく、落ち着きにつながるように環境を整えてあげるのです。

そして、その居場所にお気に入りのおもちゃなどを入れてあげるのはどうでしょう。
それから、ラジオなどをつけっ放しにしておくことも、飼い主さんの存在を連想させ、犬はリラックスします。

ただし、外出時に限ってラジオをつけるような方法はいけません。
犬はラジオの音と一人ぼっちを結びつけ、ラジオの音が聞こえてくると不安になってしまいます。
飼い主さんと楽しく遊んでいるときに、ラジオをつけておき、ラジオの音と飼い主さんの存在を連動させるように仕向けることが大切です。

運動をさせてストレス解消

外出前に少しだけ運動をさせる方法もあります。
不安・緊張を和らげる効果があります。
運動後に少し落ち着かせ、それから留守番をさせます。

ただし、「留守番の前だけ運動させる」はいけません。
前述のラジオの音と同じです。運動と留守番を連想してしまいます。

また、一日にニ、三回、激しい運動をさせると、分離不安にとても良い効果があったとの報告があります。
運動不足はストレスの源かもしれません。

何かしらやることを与える

留守番時間を徐々に長くする矯正訓練がよくやられます。
それとともに、留守番中は自分のベッドで静かに待つ、あるいはガムなどを噛みながら待つことができるように訓練します。

つまり、犬に自立することを教えるのです。
犬だって何かすることがあれば不安の感じ方はそれほどでなくなります。

喜んで噛むようなおもちゃがある、探索しながら発見できるガムがある(ガムをあちこちに置いておくのです)、あるいは好きなときに庭に出ることができる…などは留守番中の時間つぶしに最適です。

効果のない方法はやらない

留守中に悪さをしてしまったとき、飼い主さんはどうしても罰を与えてしまいます。
「こりゃあ、またこんな所におしっこをして!」。

しかし、なぜ怒られているのかが犬にわかるでしょうか。
悪さをしているとき、あるいはその直後であれば理解できます。
でも、時間がずいぶんたってからでは理解しろという方がどだい無理な話です。

飼い主さんが外出し、そして帰宅すると叱られると思い込むと、飼い主さんの外出・帰宅に対して不安感が大きくなります。
飼い主さんが外出するのも怖いし、帰ってくるのも怖いとなると、分離不安による問題行動がさらに悪化することもあります。
効果のない方法(留守中の悪さに罰を与える)はやっても意味がありません。

飼い主の間違った対処を正す

他の部屋に閉じ込めた犬が泣き始めたとき、あるいは帰宅して泣き声を聞いたとき、心優しい飼い主さんは「ごめんね、寂しかったでしょ」とすぐに犬と“ご対面”します。

でも、ここは我慢なのです。少し待って犬が静かになったところで、ドアを開け“ご対面”してください。「泣けば飼い主さんが顔を出す」と思い込ませてはいけません。
心優しい飼い主さんにも忍耐が必要です。

飼い主-飼い犬の関係を改善する

“お座り-待て”、“伏せ-待て”などの訓練を通して、飼い主さんといつも一緒に過ごすことはできないことを教えてください。

徐々に“待て”の時間を延ばしていきましょう。

その訓練中に、別の部屋に閉じ込めたり、しばらくケージに入れたりすることも一方法です。
外出中に特定の部屋に閉じ込めておく場合は、食べ物を与える、遊んでやる、おもちゃを与えるなど、犬が喜びそうなことは全てその特定の部屋で行うようにしてみましょう。

犬が要求したときに毎回かまってやることはやめましょう。
頭を押しつけてきたり、鼻をくんくん鳴らしたりしたときに、いつでもかまってやると、一人ぼっちのときにとても不安を感じます。

それから、何をやるにしても、飼い主さんが決定権を持つようにしてください。
犬の決定に飼い主さんが従うようになってはいけません。

その他

破壊的行動が目に余るとき、留守中はケージに入れたり、口輪をしておいたりすることも対処法としてありますが、一時しのぎです。

余計に不安感を植え付けることが多いようです。
留守中の犬の行動を観察するためにビデオ・モニターなどを利用する方法もあります。

でも、お金に余裕のある人達だけができそうな方法です。

5.応用編 ケーススタディ

今回は分離不安の最終回、ケーススタディです。
“犬の言いなりにならない”、“泣きわめきを止めさせる”、そして“自立を促す”を表示します。
ついでにケージの活用も紹介します。

【基本中の基本:“犬の言いなりにならない”】

実際の対処1:犬の要求行動には一歳応えない
解説:犬は、食べ物、遊びなどを求めて、吠えついたり、飛びついたりします。飼い主たる者、この要求にやすやすと乗ってはいけません。「よしよし、どうしたの。何か欲しいの?」ではいけません。毅然とした態度を示しましょう。

実際の対処2:犬と接触する時間・長さは飼い主さんが決める
解説:呼びもしないのに、のこのことやって来て、遊びを要求するようなときは、完全に無視してください。そのうち諦めて離れて行きます。そのときがチャンスです。すぐに呼び戻し、撫でてあげたり、遊んであげたりしてください。犬に物事を決めさせてはなりません。

実際の対処3:”自由”ではないことを示す
飼い主さんに何かしてほしいときには、その前に命令(来い、お座り、伏せ、待てなど)に従わなければならないことを教え込んでください。この場合、通常の服従訓練もより厳格に行ってください。

【泣きわめきをやめさせ、静かに待たせる一連の矯正訓練】

実際の対処1:敷物(お気に入りの毛布など)の上で”待て”の訓練を
解説:敷物を置いて”来い、お座り、伏せ”が最初です。次に出入口から離れた場所で”待て”をさせます。訓練が終了したら、敷物は取り払ってください。敷物を占有させないためです。

実際の対処2:犬を一人ぽっちにさせない(可能なら)
解説:犬の不安が解消するまでは、犬を一人ぼっちにしないようにしてください、(可能であれば)。ただし、短時間の留守番訓練などは例外です。

実際の対処3:ガム、おもちゃなどを敷物の上に置く
解説:敷物の上での”待て”の訓練中、お気に入りのおもちゃ、ガムなどを置いてみてください。”待て”をすることが苦ではなくなるかもしれません。訓練が終われば、おもちゃ、ガムは取り除いてください。与えてしまってはいけません。

実際の対処4:静かに待てたときにはご褒美を与え、待つ時間を徐々に長く
解説:静かに待てたときは、撫でたり、誉めたり、ご褒美を与えたりしてください。そして、時間を徐々に長くしてください。例えば以下のようなやり方です。

  • 飼い主さんが同室にいる状態で3分間
  • ドアを開けたままで、飼い主さんが出入りしながら、3分間
  • 飼い主さんが出入りのたびにドアを閉めて、3分間
  • 飼い主さんは家にいるが、ドアを閉めた部屋で、10分間
  • ドアは開けたままで、飼い主さんが家の外に出て、10分間

実際の対処5:待たせる時間は犬が耐えられる程度に
解説:矯正訓練中は待たせる時間に気を配りましょう。犬が耐えられる時間とは静かに敷物の上で待てる時間と考えてください。部屋で待たせて、飼い主さんが再び入ったときに、ドアの前で待っている状態は長すぎると思ってください。敷物の上できちんと待っている状態がべストです。

実際の対処6:待たせる時間は様々に
解説:待たせる時間を様々に変えてください。いつも同じ時間はいけません。あるときは10秒、あるときは10分。つまり、飼い主さんが帰ってくる時間を、犬に推測させてはならないのです。

実際の対処7:泣き出したときは静かになるまで待つ
解説:泣き始めても無視してください。静かになるのを待つのです。そして、静かになって3分間はドアを開けてはいけません。3分間待ってから、おもむろにドアを開けてください。

実際の対処8:叱らない、罰を与えない
解説:泣き始めたからといって、叱ったり、罰を気長にやってください。

実際の対処9:10分待てれば、徐々に長く
解説:静かに10分間待つことができれば、徐々に長くしていきます。15分、20分⋯です。ただし、長くしていく場合でも、ときどきは短い時間にしてください。6と同様です。

実際の対処10:矯正訓練前、留守番訓練前に運動を
解説:訓練前に少し激しい運動をさせるのも良い方法です。少し疲れさせて、”待て”の訓練をさせると意外と長い時間待つことができます。まあ、単に疲れているだけかもしれませんが⋯。

【自立を促す4段階矯正法】

第1段階
  • “犬の言いなりにならない”を実践する。
  • 外出中の、問題行動(泣きわめき・破壊行動・おもらし)に罰を与えない。
  • 飼い主さんが出入りのたびにドアを閉めて、3分間
  • 家具の上などに乗ることを禁じる。飼い主さんの近くに座ることも禁じる。
  • 寝室で眠ることを禁じる。寝室のドアを開けたままにして、柵などを使って寝室の外で眠るように習慣づける。慣れてきたら寝室のドアは閉める。
  • 外出前にちょっとした運動をさせる。
  • 外出直前30分は完全に無視する。
  • 矯正中の最初の二、三週間は、飼い主さんの匂いのついた服などを与えたり、ガムを与えたりする。
  • 外出するときに、声をかけたり、撫でたり、見つめたりしない。
  • 外出から戻ったとき、犬がおとなしくなるまで無視する。
第2段階
  • 在宅中でも、飼い主さんの後ばかりをついて歩かないようにさせる。
  • 飼い主さんが部屋を出るときにも”待て”ができるようにする。
  • 柵などを利用して一定の距離をおくことも一方法。そして、”待て”、あるいは一定の距離をおく時間を徐々に長くしていく。
第3段階
  • (この段階では、夜は寝室の外で犬は寝ているはず)
  • 柵などを使って、犬の寝場所を飼い主さんの寝室から徐々に離していく。
  • 本来、犬に寝てほしい場所へ、そして留守中の居場所に向かって離していく。
第4段階
  • 実際は外出することなく、外出着を羽織ったり、車のキーを持ったり、テレビ・ラジオのスイッチを切ったりなどを繰り返す。
  • 外出と結びつく刺激に犬を慣らしていく。

【おまけ・ケージ活用】

「おまけ」としてケージの活用を書いてみます。

我が家の三四郎はケージの中で留守番です。
特に訓練をしたわけではありません。ケージを自分の城と思っています。
ケージの中からだと、ボビーお兄様を威嚇することも出来ます(ケージの外だとお兄様を立てる術を知っています)。

十分な大きさのケージを準備します。
食べ物などのご褒美を使って、犬が喜んでケージに入るようにします。
まずはケージのドアは開けたままです。

犬の出入りは自由です。
半身だけをケージの外に出している生意気な犬もいます。
ケージの中で“伏せ”をするようになればしめたものです。

次にケージのドアを閉めてみます。
犬はたぶん怪訝そうな顔をします。落ち着きがなくなる前に開けてやってください。
そして、徐々に閉めておく時間を延ばしていきます。

つまり、ケージの中でも落ち着いて過ごせるように仕向けていくのです。
最初は誰かが同じ部屋にいてください。
犬だけにするのは、少なくとも1時間はケージの中で静かにできるようになってからです。

犬をケージに入れ、留守番訓練をします。
訓練前15分間は犬を完全に無視してください。
まずは二、三分から留守番訓練です。

それから徐々に時間を延ばします。

ただし、留守番時間は短くしたり、長くしたりしてください。
訓練前にちょっとした運動をさせると、比較的長い時間、静かに待つことができます。

家に戻ったときにすぐにケージから出してはいけません。
飼い主さんの帰りを待ちわびていた犬はちょいと興奮状態です。
すぐに出してあげたいのはやまやまでしょうが、ここはぐっと我慢です。
ケージから出してあげるのは、静かになってからです。