我が家にいるウィペットのひじき、今年で6歳になる子のお話を少し…。先住ウィペットの血縁になる子で、生後2ヶ月の頃に我が家にやってまいりました。元気もよく活発で賢い子なのですが、犬社会での順位がとても低く、すぐ緊張と興奮からの軟便になる事も悩みの種でした。
ひじきは我が家の犬の群れに入った時に先輩犬から少しでも注意を受けると、ハウスや物影に隠れてしまい先輩犬たちにそのスペースを譲るという事もよくありました。
犬に対して反発は一切しないものの、とても弱いタイプの性格なので本人も落ち着いて休まる時間も少ないように思えました。この子をリビングにフリーで生活させようと何度かチャレンジするものの、自ら物影に隠れ、睡眠もせず落ち着きがなくなる事もしばしば…。
ハウスだと安心して熟睡できるようではありましたが、このままケージで過ごさせるのも可哀想…と思っていました。しかし前回のコラムにもお話したように、可哀想というのは人間の感覚であり、犬からの感覚とは違うもの。私もついついそう考えてしまっていました。
他の犬に遠慮して右側の脱衣所で休もうとするひじき、熟睡する事もできず落ち着かない様子です。
果たしてこれがこの子にとって安心するスペースなのでしょうか?決して犬との相性が悪いわけでもなく、犬が嫌いなわけでもないひじき。休もうとする場所は先輩犬に譲りたいという行動が強くあるように思えます。
一頭のみでこの子を飼育するのなら良かったのかもしれませんが、我が家は犬のお店なだけに、他にも犬がいますので、どうしてもこの環境には慣れて欲しいもの。そう思いながら今年で6歳になるひじき…
本人の落ち着く環境を考えた所、やはりハウスにいる事がこの子にとってリラックスできる最大の場所なのかと思いました。1日4回外で同居の犬たちと走ったり遊んだりする分には問題なくコミュニケーションも出来て発散ができていますが、休む場所と遊ぶ場所はそれぞれ本人にとって分けて考えているようです。休む場所ではリビングは先輩に譲り、自分のハウスは自分のリラックスできる場所である事、そして外で遊ぶ時は分け隔てなく…。
と、本人を観察すると、〇〇は譲るけど〇〇は一緒に、と分けているように感じました。賢いからこそ、要領よくトラブルなく群れの一員となっている子なのかもしれません。今まで何頭も犬と過ごしてきましたが、このような低姿勢なタイプの子はあまりいなくて戸惑いましたが、これがこの子のスタイルなんだと受け入れる事にしました。
ハウスに入っていると熟睡できて、緊張性軟便も止まります。しつけが足りないからだ、とか、子犬の頃の経験が不十分だったからだ、と自分を責めてしまう方もいるかもしれませんが、ひじきの場合は訓練等は勿論、社会性もかなり身に着けている子でもありますので一概にそうとも言えないかと思います。
この子だけハウスに入ってて可哀想と思う事もありますが、それは人間だけの感覚なので、できる限り犬の本能に従い、犬の気持ちになって考えていく事が大切です。
そうする事により、犬の心のケアと体調のケアにもつながると私は思います。十人十色というように、犬にも色々な性格があります、愛犬の性格を受け入れてあげて、少しでも身体の負担にならないよう、その子に合った安心する環境を作ってあげる事が1番の思いやりになるのかと私は思います。