ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.161 犬同士のコミュニケーションで気をつける事

ドッグランに行くと、他の犬と仲良くなって欲しいと飼い主さんなら誰もが思うはずです。犬同士が仲良く追いかけっこをしたり、じゃれ合いを見ると、微笑ましく思えますよね。しかしその姿、本当に犬は楽しんでいるのでしょうか?

遊んでいる様に見えて上下関係の駆け引きをしている

逃げる犬を追いかける、手をかける、飛びつく、転がるなどの一連の動作は人間から見ると遊んでいるようにも見えるかもしれません。しかしその中で、犬たちはボディランゲージを使って「ボクは強いよ」「私は弱いよ」と言う表現をしています。

毎日一緒に過ごしている群れの仲間となった犬同士であれば、遊びに近いじゃれ合いはする事もありますが、時々しか会わない犬や初めて会った犬同士のじゃれ合いには駆け引きがあると思っても良いかと思います。

このじゃれ合いがすぐ落ち着いてお互いを気にしなくなるのであれば問題は無いのですが、休む間もないくらいに永遠とじゃれ合う場合は要注意です。 時には喧嘩に発展する事もありますので、追いかけっこやじゃれ合いが10分ほどしても収まらない場合は飼い主さんが愛犬を呼び寄せ、時々ストップさせてクールダウンをさせる必要があります。

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仲良くなるとじゃれ合いではなく無視する様になる

これも人間同士の感覚になってしまうと間違いになってしまうのですが、犬同士が群れの一員となり認め合うと、追いかけたり、じゃれ合いが無くなり、お互いを無視する様になります。これは仲が悪くなった訳ではなく、仲間として認め、安心できる存在となった証拠となります。人間の感覚だと「じゃれ合う」=「仲良し」と思いがちですが、犬は人間ではありません。犬の世界でのルールがあり、それに人間の感覚で入り込んでしまうとトラブルの原因になってしまう場合があるので注意が必要です。

犬の場合は、駆け引きはじゃれ合う事、認め合うと無視する事がルールとなります。ある程度じゃれ合いが終わり、お互いを気にしなくなったら、そこで飼い主さんがする事は

「うんと褒めてあげる事」

これを必ず行うようにしましょう。犬同士の駆け引きを辞められる事、常に上位のアピールをしないでクールダウンが出来る事はとても理解のある犬で犬社会でも馴染める子になります。

ここで「ほら!もっと遊びなさい!」ではなく「上手に受け入れたね、いい子だね」と大げさに褒めてあげる事がポイントです。

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駆け引きやじゃれ合いを辞めた犬は目と目を合わさなくなります。この行動は「敵と思っていないよ 喧嘩はしないよ」と言う意味であって、お互いトラブルが起きないように、回避している行動となります。この行動から分かるように犬同士を初めて会わせる時にも気をつけてもらいたいのが…。

正面から挨拶させない 目と目を合わせない 鼻と鼻をくっつけない

という事をさせないように気をつけましょう。犬にとって上記の行動はケンカを意味する場合があります。犬同士の正しい挨拶はお互い無視する事、または正面からではなくお尻から匂いを嗅ぐ事。これができればトラブルも回避できるようになり、犬とのコミュニケーションも上手になってくれると思います。

出会い頭に手をかけたり、正面から目を合わせる等の仕草を犬がしようとした場合は、人が間に入りストップをさせてクールダウンをしてからから会わせるようにしてみましょう。最初の行動で全てが左右されていくので、飼い主さんは愛犬から目を離さず、注意が出来る体制を取れるようにすると、世渡り上手で犬に好かれるワンコに育つでしょう。