ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.159 あなたは犬を叱る?それとも気をそらせる?

イケナイ!ダメでしょ!と犬を叱った事は飼い主なら一度はあるはず。しかし、それで伝わっているか?と言えば、何度も繰り返しイタズラや問題行動をしてしまう愛犬…

叱れば理解しているのかな?

それはNG!です。

叱る事が通じるのは人間だけの話…。言葉の通じない犬には何がなんだかさっぱり??

イメージしてみて下さい。

野生のキツネを保護したら、あなたは叱ってしつけをしますか?きっと野生動物はしつけで叱ったりせず、受け入れてその問題行動を回避するのではないのでしょうか?

何故そう思うのでしょう?

それは、始めから通じない物と思っているから。なのです。

では犬にはどうして、しつけたり叱ったりをしようとするのかを考えた所、身近にいる動物であるが故に擬人化している傾向もあるのではと思います。ついつい、分かってくれるであろうと言う先入観から、叱れば大体の犬は通じると思いがちなのかもしれません。

その中で「叩く」という行為。

言葉で言って通じなければ、叩いて回避させる。叩いて行動を制御させる。

これも昔ながらの子供のしつけと重ねているのではないでしょうか?

犬は言葉が通じなかったら、叩けば言う事を聞く生き物ではありません。叩いたら大人しくなった!

という方もいらっしゃるかもしれませんが、それは痛くて恐怖で動けなくなっただけで、恐怖での関係は長持ちせず突然恐怖からの攻撃でお返しがくる日が来てしまうかもしれません。

正直、犬は怒鳴ったり叩いて理解する事は不可能なのです。

イメージ

では?どのように問題行動を辞めさせたらいいのか?

それは

気をそらせる事

これだけでいいのです!目を見てくどくど大きい声を出したり叩いたりする必要もありません。

例えば、犬がゴミ箱をイタズラしていました。

そこで「NO」と禁止の言葉をかけた後に「おいで」と言ってみてください。犬が呼び寄せに反応してゴミ箱をイタズラするのを辞めて、こちらに来たら「おやつ」を与え褒めてあげます。もちろん怒った声ではなく普通に呼びかけます。

犬は最後の行動しか記憶に残りません。

イタズラしたからオヤツを貰えた…。ではなくここでは最後の行動の

辞めて飼い主の所に来たからオヤツが貰えたと理解するのです。

次第に「NO」と言う掛け声で飼い主の所に嬉しそうに来るようになります。オヤツを貰うために来ているのですが、それで辞めたらOKなのです!

辞めたご褒美は必ず与えるようにし、叱るのではなく気をそらせて呼び寄せる事をしていくうちに愛犬のコントロールがスムーズになり、いけない行動を犬自らが回避して犬にとって都合の良い事(オヤツが貰える)を行うようになって行くのです。

私たちが思っている以上に犬の知能は高く、こうしたらこうなるかも?ここで褒めたら駄目なのかも?と言う人間のコミュニケーションに置き換えると駄目になるパターンでも犬にとっては理解できる事もあります。

人間ならこう!と言う固定観念を一度無くして、犬の行動や習性や能力を理解しながらしつけていくと、お互いストレスを感じず、良い関係に繋がるかと私は思います。