ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.153 問題行動における避妊・去勢手術の必要性

我が家ではトイプードルの出産が時々あります。現在女の子3頭男の子2頭の計5頭のトイプードルが我が家にいるのですが、そのうちの男の子1頭は大人になってから我が家に来たパパ犬です。

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2年ほど他の犬舎さんで過ごしていたので、犬同士のコミュニケーションや、家庭内での生活においてあまり経験をした事が無い為、馴染むのに時間がかかりました。そして勿論、パパ候補なので去勢手術はしていません。

家庭内での生活において問題はここにありました。子犬の頃から我が家にいるパパ犬とは違い、大人になってから群れに突然入る事は、犬にとってとても気が張る事かと思います。

始めはひと通り他の犬達に挨拶をし、少しずつ犬達との距離を縮めていくのですが、去勢をしていないのが原因なのか、女の子より男の子に対しておしりを嗅ぎ続けマウントをしてつきまとう仕草が見られました。その後しきりにマーキング行動、そしてフードによる犬への威嚇行動(人にはしません)

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そのもう1匹の男の子に対して強さのアピールをし始める事が多くありました。去勢していない男の子を迎えるにあたり、ある程度の受入れと妥協をしなくてはいけないと考え、新しく来たこのパパ犬には、自分だけのスペースの確保と人といる時間を増やし、逆に群れにいる時間を少な目にしてみたのですが、そうする事により徐々に犬に対するアピールが減っていき、落ち着きを取り戻してきたのです。

慣らせばいいというものではない
このパパ犬のように、犬の群れに入りすぎると逆にオスのアピールをし続けてしまい、縄張り意識が強くなってしまうケースが少なくはない事が分かりました。だからといって無理に群れに入れて慣れさせる。と言うことは逆効果になってしまう事もあるようです。多頭飼育をされる方で犬とのトラブルがある場合は、自分のスペースを確保させる事により、安心を得る事と縄張りを広げる行動の制御になるので、ケージやサークルでの生活は慣れさせる必要があります。

避妊手術をしていない女の子のトイレマナー
去勢していない男の子はマーキングの問題がある為、トイレのしつけは半分できればいいかな?くらいでいいと思います。縄張り意識がコントロールできなかったり、トイレを完璧にさせたいのであれば、去勢手術は必ずする事をオススメします。

しかし、男の子は分かるのですが、実は女の子にもマーキングがあります。我が家にもママ候補が現在2匹いるので、発情が年に2回あります。その度にトイレの失敗が増えてしまい、トイレトレーニングのやり直しという現象になります。

これも性格によりますが、女の子も発情が来ると、本能的にオスを呼び寄せる為にオシッコで縄張りを広げる行動が出てきます。そうなると家の中で出来ていたトイレがハチャメチャに…という事も少なくありません。約1ヶ月発情期間が終わったあとも、安定せずに女の子のマーキング行動は行われたりするので、避妊手術をしていない女の子の飼い主さんはお手上げになって相談に来る事も…。やはり、このように出産の予定がない場合は男の子も女の子も避妊、去勢手術は必ず必要となっていきます。

しかし、去勢、避妊していても時々大人になってきたらマーキングするワンちゃんもいますが、手術していない子に比べたらすぐに修正が効くので、トイレトレーニングのやり直しは簡単になるかと思います。

クレートトレーニングはしっかりと
このように我が家は避妊、去勢していない犬が共存していますが、どうして問題が起きないのか?といいますと、結論は完璧なクレートトレーニングです。

これは去勢、避妊をしないのであれば、義務であり、犬の本能を受け入れる為に必要な事でもあります。男の子をフリーにする時は女の子の発情が落ち着いた時のみ。女の子の発情は年に2回だけなのでそれ以外はフリーにしてあげていますが、休む時は必ず自分の部屋で休ませ、クレートに対する安心感を常に与えてあげています。

去勢していない子は本能が強めなので、ある程度の受入れと妥協も必要となってきますが、犬によっては、犬同士のコミュニケーションも難しい場合があるので、去勢避妊をしない場合は無理に遊ばせたいと思わず受入れてあげて、それぞれの付き合い方をしていく事が大切となります。

しかし、日常生活や犬とのコミュニケーションに悩まない為には、去勢、避妊手術は必ずする事を私はオススメします。