ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.147 魔の生後2ヶ月?

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今年、また我が家でトイプードルの子犬が産まれました。今回はなんとひとりっ子ちゃん、今までの経験でひとりっ子の子育ては初となるので、兄弟がいるケースとひとりではどのように育っていくのか?と、とても勉強になるのではと観察に力が入りました。

母犬は初の出産でしたが、とても母性本能が強く子犬からひと時も離れずにお世話をしてくれていました。

他の犬達が近づこうものなら子犬を守るために威嚇するほどでした。日ごろ、とても穏やかな性格の母犬ですが、誰に教わった訳でもないのに初めて見る子犬でも育てて守るという事ができるのは素晴らしい動物の本能だなと実感しました。

生後1ヶ月を過ぎて、離乳食がスタートした頃には子犬も歯が生えてくるのであんなに子煩悩だった母犬でさえも甘噛みしてくる子犬に授乳を少しずつ拒否するようにもなってきました。

この時期は今までならば兄弟犬達とじゃれ合いをしたり噛み合いをしたり、寝る暇もないくらいに遊び続ける時期になりますが、この子はひとりっ子なので相手がいなくて、じゃれ合うのは母犬や他の成犬達ばかり…。

噛む時の力加減も理解している大人犬なので、子犬には優しい接し方をしてくれます。

しかし、この優しさが社会化期の成長を遅らせてしまう事が観察の結果分かったのです。本来、兄弟同士がいる場合は、まだ子犬なので甘噛みする時の力加減がよく分かっていなく力いっぱい相手に噛み付いていきます。

そこで覚えるのが相手に噛まれる「痛さ」そして自分が噛んだ場合に発する相手の「痛い声」。これを体験していくうちに力加減を理解していくのです。

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生後1ヶ月頃は歯も生えそろっていないので母犬もまだ優しく接するのですが、このまま生後2ヶ月を迎えた頃、歯も生えそろっていき動きも次第にハードになっていきます。そして写真のように母犬が生後2ヶ月を迎えた頃本格的な指導に変わっていきます。

子犬の甘噛みや抵抗が出てくるのは、生後60日頃からピークを迎えます。今まで乳児だったのが幼児に変わり、優しかった母犬も子犬に対する態度が急に変わるのもこの時期になります。

兄弟が多い時の子犬は母犬に抵抗する事はとても少なく感じたのに対し、ひとりっ子の場合は遊び相手がいなく常に触れられていない状態で育っているので、母犬の注意には反発します。

そこで人も加わり、足、口、尾、耳に触るトレーニングを行うと…「キャーー」と大騒ぎです。

母犬も一緒になり、子犬の足や耳に甘噛みして、私の手助けをしてくれます。このトレーニングを数日行っていくと、鳴いて反発していた子犬は次第に慣れていき、生後70日を迎える頃には全ての身体のポイントに触る事を受け入れるようになると共に、甘噛みも激減しました。

兄弟の多い場合より、少し受け入れに時間がかかる事がわかりましたが、ここで焦らずにじっくり子犬に時間を作っていき、生後60日から触れるトレーニングを本格化していく事により、将来的に穏やかな子犬になっていくと思われます。

母犬は60日から子犬を叱り、教育するようになっていくのですが、この時期に母犬と離しては絶対にいけません。母犬の教育は成長過程で必ず必要な経験となり将来の性格を左右します。
それと同時に子犬は犬社会に揉ませていきます。

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母犬だけの世界から他の犬と触れ合い、犬社会のルールを学んで行かせます。そこから母犬の教育と合わせていくと、生後75日頃には完全に落ち着いた子犬が出来上がる事が分かりました。

(性格もありますが)ここで言える事は、生後60日は魔の生後2ヶ月と言われるほどヤンチャざかりです。この時期に迎えた子犬は少し手間がかかるかなと思いますが、75日までは母犬や兄弟犬のそばで社会化を学ばせて少しでも長く母犬からの教育を受けさせてあげるといいでしょう。

この子犬も間もなく巣立ちですが、正しい教育を行っているのできっといい子になれるでしょう。