ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.142 成長途中で現れる犬への拒否行動

子犬の時は他の犬と遊ぶ事が好きだったのに…1歳を過ぎてから犬を嫌がるようになってしまった。もっと遊ばせてあげたいのに…。と言う相談をよく受ける事があります。

果たして、犬が犬と遊ぶ事は楽しくて幸せなのでしょうか?

イメージ

長い間犬との関係を観察してきましたが、遊んでいるように見えるのは人間だけ、犬の世界ではじゃれ合う事は順位の駆け引きをしている事が殆どと思われます。

子犬の時は狩猟の本能から「追う」「噛じる」「手で捕らえる」行動が多く現れます。対象物は兄弟の犬からスタートし、母犬へ移行します。もしもそこでネコの群れに入れたとしても同じ行動を取るでしょう。

対象物は犬ではなく動くものであればどんな生き物や物でも構わないのです。

子犬の時期は特に狩猟の本能が強く出ているので、順位はあまり関係なく、じゃれ合いを通して、いい事やいけない事を学びます。

子犬の時は追う事が楽しくて仕方ありませんが、追う事の理解はあまりせず、本能のままに動いています。子犬が特にじゃれ合いを好むのはこの為と思われます。

そして次第に母犬の教育により危険な物には追ったり噛んだりはしてはいけない事、そして兄弟や母犬から噛み返されたりし、噛んではいけない事を学びます。

学び終えた子犬は成犬になると、犬同士でじゃれ合いをしなくなります。駆け引きの対象が犬ではないと、母犬、兄弟から十分に教わった犬は順位の駆け引きしなくなります。

その事から、成犬になった時に相手に誘われたら拒否をしたり、しつこい相手には歯を当ててしまう事もあります。これは自分の犬が狂犬になった訳ではありません。

「あなたとは狩猟や順位あそびをしませんよ」という、注意なのです。

これは母犬が子犬にする行動と同じになります。

社会化期に十分に兄弟犬や母犬から教育を受けなかった犬ほど、何歳になっても駆け引きを楽しむように思います。ですが、教育を十分に受けて順位付けを卒業した犬は、犬の群れに入れる事は苦痛となってしまい、ストレスに繋がる事となってしまいます。

「うちの子、犬嫌いになってしまったかもしれないからもっと慣らしてみる」と頻繁にドッグランに行かれる方も少なくないのですが、犬の気持ちを見直してみると、心の裏側には犬のルールや本能により、寄せ付けない、群れから避けたいと言う事があるのを忘れずに対応しましょう。

拒否する子は大人になった印です。

イメージ

我が家の犬は計9匹おりますが、犬あそびはほぼ卒業しております。

よっぽど気が乗らないとじゃれ合う事はありませんが、我が家にひとりだけよくじゃれ合いを仕掛ける子がいますが、その子は割と順位の高いリーダータイプなのは間違いないです。

大人になるにつれて、愛犬の変化は必ずありますが、できるだけ受け入れてあげて、行動を観察してあげるといいでしょう。
そうする事により、お互いのストレスにならないと私は思います。