ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.140 母犬から学ぶしつけ

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4月にプードルの子犬が我が家で産まれて、まもなく生後2ヶ月となります。
子犬たちもすっかり大きくなりました。

生後2ヶ月に入った頃から母犬は授乳をする回数が徐々に減ってきました。

子犬たちに小さな乳歯が生えてくると、母犬は噛まれるのを嫌がり授乳を拒否するようになります。

子犬はこのように母犬に授乳を拒否される事により、親離れがスタートとなります。そしてこのスタートと共にごはんが食べられるようになってきて、自立も出来るようになり、これが自然な親離れの流れになります。

人の手で引き離す必要はなく、犬に任せておくと自然と離れる事を覚え、自分で遊びを覚えたり、食べ物を食べる事を覚えたり、母犬のお腹ではなくひとりで寝る事も自然と覚えていきます。

このタイミングは犬によって違うので、母犬のタイミングで任せておくと、情緒に不安がなく自然な親離れを行う事ができるのです。

生後2ヶ月から母犬のルールのしつけもスタートし、前より少し厳しくなった母犬に子犬たちは戸惑いますが、この母犬のしつけが無いと人や先輩犬に対し挑戦的になってしまう事もあるので、しっかりと母犬からルールを教えてもらう事が大切になります。

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左の画像は母犬がわざと子犬たちの前でガムを食べているのを見せています。

始めは母犬に甘えて、母乳をせがんだり、母犬の食べているガムを奪おうとふざけますが、母犬はそれを許す事はせず、唸り声で一喝します!

5匹の子犬たちが一斉に姿勢を低くし、母犬に一定の距離を保ち、食べ終わるのを静かに待つようになりました。

何度も何度も母犬は子犬の前でごはんやおやつを食べる姿を子犬に見せて、我慢を教えていきます。 そして母犬が食べ終わり、残した物を子犬たちが食べ始めます。 母犬が譲るタイミングに、子犬が近づいても唸ったりせず、身体を舐めたりして迎え入れ分け与えてあげます。犬の世界では、しっかりと、母犬が先に食べて、子犬は、後に食べるルールが作られているのです。

母犬の出す唸り声は本能で子犬が認識出来るようになっており、人がいくら低い声を出そうとも、うんともすんとも言いませんが、母犬の出す唸り声の周波数は特殊なものとなります。 しつけの際に人が低い声で犬に威したとしても無意味な事がここで分かります。人間が犬に注意する時は人が出す声の低さよりトレーニングにより言葉を理解してもらう方が良い関係になるのです。

母犬のこのしつけで、食べ物だけではなく、おもちゃやガムの独占で人に対しても唸るという事もしなくなり、譲る事を自然と覚えて育ちます。どれだけ母犬との生活が大切か、早く離された子犬はどうなってしまうのか、ここでの関わりを見ていると母犬との時間は最低でも2ヶ月半は必要になります。

子犬を販売する時期は少しずつ伸びていますが6月より生後49日→生後57日からとなりました。ですが、それではまだ早すぎだと私は思います。 生後75日以降が子犬のしつけや気持ちのバランスも安定するので、いつかそのように改正しできればいいなと願っています。 そして母犬と離すタイミングは早い所では生後21日頃から引き離す事もあります。

母犬と離すのは最低でも生後60日にして、販売は生後75日以降にしてほしいものです。 迎える飼い主さんと子犬の事を考えると少しでも母犬との時間を伸ばしてあげたいですね。我が家のプードルたちは生後75日以降の引き渡しになっていまして、最後の1週間でハウストレーニングを行っています。

その間も先輩犬たちとのふれあいも十分にさせているので、犬とのかかわり、ハウスで過ごす生活リズムのしつけ、人からのタッチトレーニング、トイレのしつけもしっかり覚えてから新しい飼い主さまの所へいくので、情緒も安定しており私も安心です。

いつかすべての飼い主さまが安心して子犬を迎えて飼える環境にできたらと思っています。