ドッグトレーナー佐々木の
しつけコラム

Vol.127 犬同士のコミュニケーション

犬同士のコミュニケーションは子犬の社会化期にはとても大切な事となります。
この時期に同じ月齢ぐらいの子犬と遊んだりする事により、甘噛みの軽減や犬同士の挨拶を覚えたり、恐怖心等を除いたりもしていきます。
性格にもよりますが、子犬の頃からよくコミュニケーションを取っている犬を見ると8割方は人に対しても友好的で甘噛みも少なく育っている子が多く見られますが、それほど社会期によるコミュニケーションは重要となってくるという事なのでしょう。

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子犬の頃の環境で、複数の成犬や幼犬の中で育った子犬はある程度成長すると、他の犬に対して興味を持たなくなり、じゃれたり遊びを誘ったりする事をしなくなってきます。これは犬社会での沢山の経験から「順位の駆け引きとなるじゃれ合いとなる遊び」は必要ないと感じるようになった証拠なのではないか?と思います。

そのような行動をみて「うちの子は遊ばなくなった」と相談を受ける事もあります。特に女の子の方がそのような傾向が強く表れてくるようで、自分の周りでテンションが高く、じゃれて来ようとする犬に対して「注意」をする事もあります。この行動を「イケナイ」と叱る飼い主さんもいるのですが、犬の社会では必要な行動であり、イケナイ事ではないのです。

わたしはこれを「犬同士のしつけ」と言っています。

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犬社会で豊富に経験して、勉強を終えた子は年下の子に対し「しつけ」をしてくれるようにもみえるのです。注意がエスカレートしない限りは様子をみて、関係を成立させた方が良い場合もあるのですが、なかなか落ち着かない場合は注意している犬を叱るのではなく誘っている方を注意してあげましょう。

もうひとつは、性格的に怖がりで弱く、先輩のワンコに譲ってしまうという場合このようなワンコは犬同士でコミュニケーションやじゃれ合いはあまり参加せず身をひそめている子が多くいます。
「うちの子は他の犬と遊べなくて可哀相・・・つまらなそう・・・」と思うのは人間だけ。この様な性格のワンコは会えば会う程マイナスになってしまう事もあるので注意が必要です。慣れていない訳ではなく、弱い性格の為、無理に慣れさせようとするとその子のストレスとなってしまいます。

では、そのような子は遊ばせる事はできないのか?

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私の経験から言うと、そのような子は犬同士であそばないと思います。順位の低い子は駆け引きを嫌います。何度も言いますが、犬同士がじゃれて楽しそうに見えているのは人間だけ。これは順位ごっことも言えるじゃれ遊びですが、子犬のうちはまだ関係が分かる月齢ではない為にコミュニケーションの中で、勉強していくのです。その為、社会化の時期のコミュニケーションは大切とされています。
成犬になってもじゃれ遊びが好きな子も沢山いますが、大人同士のじゃれ合いには少なからず駆け引きが含まれています。そこから突然ケンカに発展する事もしばしあるのです。

1歳半ごろからは出来る限り駆け引きのじゃれ合いは卒業するのが理想と思いますが、そこからはドッグラン等犬が集まる所へ行っても、ちょっとした挨拶が出来れば100点満点!その後は犬任せにせずに、飼い主さんと沢山遊んで、人との関係を作っていきましょう!成犬になって犬だけの環境で犬任せにさせてばかりいると、人との関係が逆に乱れて来る事もあります。マウントやマーキングもするようになってしまった、犬を見て吠えるようになってしまった!という事に繋がってしまったという方も多くいます。

犬とのコミュニケーションは成長に合わせて、その子に合ったプログラムで行う事により、犬にも、人にも負担のない楽しいワンライフが送れるでしょう!