これらは血液疾患の可能性が疑われます。
血液疾患とは、これらのうち一つもしくは複数の成分の異常を呈する疾患であり、遺伝性、感染、中毒性物質、腫瘍など様々な原因により起こります。受診するきっかけとして最も多いのは貧血です。
血液内科では、血液に由来の病気を対象にします。 症状は病気により多岐にわたりますが、突然の元気消失、食欲低下、血尿やふらつきなどがみられます。 重篤な病気が多いですが、ご家族のお気持ちをくみ取れるよう骨髄検査も含め、診断・治療のご相談をさせていただいております。 また当院では献血・輸血チームがあり、連携を取り必要であれば輸血への対応も可能です。
顕微鏡を用いて、血液(赤血球、白血球、血小板)の形態を観察します。注意深く観察すると、それぞれの細胞の形態異常が見つかることがあり、時にはその異常所見が病気を診断するヒントになる可能性があります。
赤血球、白血球、血小板の数は、他の病気に関連して増減することがあります。したがって最初から血液の病気だと確定させずに、レントゲン検査や超音波検査などの画像診断を用いて病気が隠れていないか詳しく確認することが重要です。これは他の病気ではないことを確定させるために行います。
骨髄は血液の細胞を作る場所のため、この検査により各血球成分の生産や成長が正常に進んでいるのかを判断します。血液検査や血液塗抹検査などで異常が見られるものの、その病気の原因が特定できない場合、確定診断を得る為に行います。骨髄検査は骨に特殊な針を刺し、骨の中にある骨髄組織を取る検査です。取れた組織を顕微鏡で診て病気を診断していきます。なお、検査には麻酔が必要です。
自己免疫性溶血性貧血とも呼ばれ、自身の免疫システムが様々な原因により暴走してしまい、何らかのきっかけにより、自分の赤血球を壊してしまう病気です。場合によっては1、2日で急に貧血が進み亡くなってしまうこともあります。雌の犬に多いです。 症状の一つとして、元気消失、息切れ、血尿、口の粘膜が白いなど貧血の症状があります。好発犬種はマルチーズ、プードル、コッカー・スパニエル、シーズーなどが報告されてます。
血液の癌であり、血液内のリンパ球が腫瘍化し増殖する病気です。リンパ組織に腫瘤を作る病気です。体のいたるところで発症する可能性があり、増殖しているリンパ球のタイプや発症部位によって余命や症状が変化することがあります。病気の進行に伴い、全身に広がっていきます。化学療法(抗がん剤)による治療も行っております。当院では腫瘤に細い針を刺す検査や異常なリンパ節を一部切除するオペを確定診断の為に実施してます。また、抗がん剤による治療も行なってます。
血液内科でみることの多い免疫介在性溶血性貧血については、病気が短期間に進み治療が難しいというケースも少なくありません。
他の診療科でもあてはまりますが、まず飼い主様にお願いしたいのは「いつもと違うかな?」とお感じになりましたら、ぜひその直感を信じてご受診いただくことです。動物は身体の不調を隠します。一番近くで異常を感じられるのは飼い主様ですので、「まだ動物病院に連れていかなくていいかな」ではなく、安心のために早期に受診をお願いします。
なお、定期的な健康診断は、正常時のデータがとれるため病状の把握に役立ちますので定期的に受けていきましょう。人間の1年は動物の4年分に相当します。