猫の尿管結石は、近年発生率が増加している疾患です。
猫は左右に腎臓を有しているため、片側性尿管閉塞では臨床症状が乏しいまま経過することも多く、診断が遅れる傾向があります。
その結果、発見時には尿管閉塞を起こした腎臓の萎縮や不可逆的な腎機能低下が認められるケースも少なくありません。
また、尿管結石は高齢猫に限らず、若齢猫においても発症が認められる疾患です。
• 元気消失、食欲低下
• 嘔吐
• 腹部や背部の疼痛反応
これらの症状がみられる場合には、早期に動物病院での精査を受けることが重要です。
尿管結石は、早期診断および適切な治療介入が腎機能予後を大きく左右する疾患です。
9歳の猫ちゃんが嘔吐を主訴に他院を受診され、両側尿管結石が疑われたため当院へ紹介来院となりました。
血液検査にてBUN、Creの上昇を認め、急性腎不全の所見を呈していた。
腹部超音波検査およびX線検査により、右遠位尿管および左近位尿管に結石を確認し、両側腎盂拡張を伴う尿管閉塞が認められた。
以上より、両側尿管結石による急性腎不全と診断した。
内科的治療(輸液療法および鎮痛管理)を実施したが、腎機能マーカーの改善は乏しく、腎盂拡張の進行が認められたため、外科的治療を選択した。
• 右側:尿管膀胱新吻合術(ureteroneocystostomy)を実施し、術後の尿流確保を目的として腎瘻チューブ設置
• 左側:近位尿管切開術により結石を摘出
• 術後管理目的にアクティブドレーンを設置
術後の経過は良好で、術後5日目に右腎瘻チューブより腎盂造影検査を実施したところ、尿管の開通性が確認できたため、腎瘻チューブを抜去した。
その後、腎数値は速やかに改善し、画像検査上も腎盂拡張の消失を確認したため退院とした。
現在は全身状態も良好で、在宅にて安定した生活を送られています。
猫の尿管結石は近年増加傾向にあり、特に両側性病変や完全閉塞例では迅速な治療判断が求められます。本症例では、結石部位および腎機能評価に基づき外科手技を選択・併用することで、腎機能の回復および良好な転帰を得ることができました。
当院では、尿管結石症例に対し、内科治療・外科治療の適応判断、手術および術後管理まで一貫した対応を行っております。
治療方針にお悩みの症例がございましたら、ぜひご相談ください。




