尿道閉塞により膀胱破裂を呈したダルメシアンの緊急手術例。
来院時すでに腹腔内に尿漏出を認めました。
まず尿道閉塞の解除を行い、その後、開腹手術にて膀胱修復を実施しました。
ダルメシアン、去勢雄、2歳
一昨日からの食欲廃絶と嘔吐
排尿していない
虚脱、ショック
血液検査:BUN >130mg /dl、CRE 測定不能
尿検査:尿道カテーテル挿入不可のため実施できず

・腹水貯留に伴う腹腔内漿膜ディテールの消失
・尿道内に、結石を疑う弱いX線不透過性陰影2つあり
・多量の腹水貯留
・膀胱尾腹側壁の不連続部より尿の漏出を認める


・逆行性に尿道結石を膀胱に戻した
・腹腔内に大量の血様貯留を認めた
・膀胱は赤褐色に変色
・膀胱頚部の不連続部より切開を加え、多数の小石状の結石を摘出
・切開部をトリミング後、吸収糸連続縫合にて閉鎖
・膀胱を大網で覆い、アクティブドレーンを設置して閉腹
・結石鑑別:尿酸アンモニウム結石
・膀胱は全体的に赤褐色を呈し、生存性には疑問があった
・しかし、トリミング時に膀胱壁からのわずかではあるが出血を認め、血流はまだ保たれていると判断した
・膀胱壁の菲薄化は認められず、縫合に耐えうる組織強度が維持されていた
・損傷は膀胱頚部腹側に限局した局所的な病変であった
以上の所見より、
膀胱閉鎖術による温存が可能と判断した
・尿酸結石は犬の尿路結石全体の約5%を占める
・ダルメシアンの90%以上が遺伝性高尿酸尿症(HHU)を有し、本犬種由来の尿路結石の90%以上が尿酸結石である
・HHUはSLC2A遺伝子変異により、肝臓での尿酸取り込み低下および腎臓での再吸収低下を引き起こす
・尿酸は酸性尿で溶解しにくく、去勢雄犬および尿PHは重要なリスク因子である

・術後当初は持続的な尿漏出を認めた
・術後20日目頃より随意排尿が可能となった
・術後1か月後には軽度の尿漏出のみであり、膀胱機能の回復が示唆された