翔ちゃん先生の一言コラム
栄養素の話(蛋白質 〜その1〜)

蛋白質 〜その1〜

“必須アミノ酸”という言葉があります。体内で十分な量を合成することができず、食事から得なければならないアミノ酸のことです。一方、体内で必要量を合成できるアミノ酸は“非必須アミノ酸”と呼ばれています。

アミノ酸(αアミノ酸)には22種類があり、動物の生命活動にはこれらすべてのアミノ酸が必要です。ただ、犬では12種類については体内で作り出すことができます。残りの10種類は食事からです。ゆえに、食事中の蛋白質の役割は、まず必須アミノ酸の供給がありますし、非必須アミノ酸を体内合成するための窒素源を供給することにあります。

牛などの草食動物は消化管の中の微生物がほとんどのアミノ酸を合成し、これを利用することができます。しかし、犬・猫などの非草食動物の消化管でのアミノ酸合成は極めて微量です。ということで、頼りになるのは食事中の必須アミノ酸となります。

犬では必須ではありませんが、猫ではタウリンというアミノ酸が必須です。猫体内で胆汁が作られるときに使われるアミノ酸です。胆汁とともに腸管に出て行きます。通常は腸管から肝臓へ戻る循環機構がありますが、猫では循環が100%ではありません。結局、糞便中に排泄され不足してしまいます。ゆえに食べ物から補給しなければならないのです。植物性食物にはタウリンはほとんど含まれていません。動物性食物からタウリンを補給しなければなりません。猫族が“真の肉食動物”といわれる所以がここにあるのかもしれません。

蛋白質の品質はそこに含まれるアミノ酸の数と量に比例します。品質を考えるときに、生物価、あるいは生物値という“ものさし”を使うことがあります。「健康な成犬は1日に体重kg当り約3gの生物価の高い蛋白質を必要とする」などと使われます。さて、生物価ですが、口から入った蛋白質が体内に留保できる量を消化・吸収できる量で割って算出します。エネルギーの項を思い出してください。代謝可能エネルギー(ME)を可消化エネルギー(DE)で割ったようなものです。

ある蛋白質を犬が100g食べるとします。すべて消化・吸収できればよいのですが、20gは糞便に出て行きます。80gが消化・吸収されたことになります(消化率80%)。体内に入った80gのうち10gが利用されずに尿中に排泄されたとします。体内で利用できるのは70gです(利用率70%)。70g(利用できる蛋白質量)を80g(消化・吸収できる蛋白質量)で割ります。70÷80=87.5です。この蛋白質の生物価は87.5となります。

生物価の高い蛋白質は犬の体内で利用されやすいと考えればよいようです。蛋白質要求量が100gの場合、生物価100であればそのまま100gで事足ります。しかし、生物価87.5だと114g、生物価50だと200gが必要になります。生物価が低い蛋白質原料では、必要分だけ余計に摂取しなければならないことになります。つまり、生物価の低い原材料を使ったドッグフードでは蛋白質含量を高くしなければなりません。なお、体内に入ったアミノ酸の利用効率は健康であれば大差はないと考えられます。結局、消化率が大きなファクターとなるものと思われます。平均的品質のドッグフードに含まれる蛋白質の消化率は約80%です。低品質のフードでは消化率はもっと低くなります。また、加熱処理は蛋白質の消化率を低下させます。