翔ちゃん先生の一言コラム

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失神とは、一時的に意識がなくなることです。痙攣とは異なり、なんの前触れもなく突然起こり、そして急速に回復します。脳に十分な酸素や他の栄養素が供給されないために起こる症状です。犬にも失神があります。老犬に多いようです。高齢の雌に多く、リスクの高い犬種もいます。

失神の原因は二つに大別されます。一つが心臓疾患、もう一つが神経系の障害です。なお、薬剤(心臓病の薬剤、利尿剤など)投与でも起こることがあります。血圧を下げ過ぎたことによります。注意しなければなりません。

心臓疾患では不整脈・心臓弁障害と心臓から送り出される血液量(心拍出量)の低下が考えられます。不整脈・心臓弁障害の犬では心機能が低下しています。安静時にはなんともなくても、運動・散歩をさせたときに失神しそうになったり、実際に失神したりすることがあります。運動・散歩中は体の酸素需要量が増加します。心機能の低下している犬では十分量の酸素を体の隅々まで供給することがとても出来ません。心拍出量の低下でも同様に酸素需要量に供給が追いつかずに失神が起こります。フィラリア症、腫瘍などが心拍出量を低下させます。

強いストレス・興奮があったときの失神は、迷走神経(内臓の感覚と運動を制御する神経)が刺激された結果によるものです。咳・嘔吐・排尿・排便のときにも失神が見られます。緊張によって心臓に戻る血液量が減少したり、迷走神経が刺激されたりした結果です。引き綱を急に強く引っ張ったときに失神が見られることがあります。首にある頚動脈洞を刺激した結果です。圧迫により一時的に頚動脈洞の血圧が上昇し、頚動脈洞は血圧を下げるよう脳へ信号を送ります。その結果として失神が起こります。

原因別に失神の治療薬もありますが、飼主さんができることは・・ストレスを与えない、異常に興奮させない、引き綱を突然強く引っ張らない、老犬では運動をやや制限する、・・くらいかもしれません。

【ワラビーグループの診たて】
神経系の疾患の中には、脳(中枢神経)も含まれます。 その場合、MRIなどの特殊な検査を必要とする場合もあります。