翔ちゃん先生の一言コラム
犬の心理と行動 ~恐怖~

本前回で「犬の問題行動を考える」の基礎編が終わりました。なにせ基礎編です。
入稿前の“かみさんチェック”でも「とても読みにくいわ!なんとかならないの?」と言われ続けました。
あれこれ工夫はしてみましたが、それでも難解だったかもしれません。
すみません、この場を借りてお詫び申し上げます。

さて、今回からは問題行動をより具体的にとらえていくことにします。幾分わかりやすくなります。
まずは「犬の恐怖心」から始めましょう。

いろんな刺激で犬は恐怖を感じます。
一番多いのは見知らぬ人に対してです。そして突然の大きな物音です。
犬が恐怖を感じる二大要因です。

車の音、他の犬も恐怖の対象です。車に乗ること、外に出ることに恐怖を感じる犬だっています。
外出を極端に嫌がり、“引きこもり犬”になることもあるようです。

恐怖心、不安、ちょいと過度の興奮状態(神経の高ぶり)などは、多くの問題行動の温床になります。
恐怖心からの攻撃行動、不安からの破壊行動・泣き叫び・排尿、過度の興奮状態でのお客様へのマウンティング、
いやいやちょっと考えただけでもいろんな問題行動が浮かんできます。

恐怖、不安、神経の高ぶりに分けてお話しますが、これは便宜上の分け方です。
完全に区別することは不可能ですし、犬の心理過程でこれらが複雑に絡み合って
行動につながるとご理解ください。

1 恐怖

人が恐怖を感じると、その場から逃げ出したり、避けたりします。
そしてドキドキして、冷や汗が出たり、震えたりします。極度の恐怖では“ちびって”しまうこともあります。
「とても怖かったんだよ、実はね…」と言葉で恐怖体験を語ることもできます。

対処法は原因の種類によります。
病気が原因であれば動物病院での治療が必要になりますし、
問題行動へと導くなんらかの要因があればそれを取り除くようにしなければなりません。
そして最も重要なのは飼主さんの意識改革のような気がしています。

犬が他の犬に恐怖体験を語っているかどうかはわかりません。

しかし、逃げる、避ける、震える、あえぐ、鼻を鳴らす、無意識に排尿する(ちびる)などの行動は見られます。
人と同じような行動パターンです。
ちょっと人と違う行動として、恐怖が誘発する攻撃行動があります。
いやあ、人でも恐怖心から攻撃的になる輩もいますね

犬の恐怖反応の原因はなんでしょうか、持って生まれたものでしょうか。
確かに遺伝的な恐怖反応もあります。
いやあ、人でも恐怖心から攻撃的になる輩もいますね

しかし、その大部分は学習されたものです。不快な刺激、驚愕の刺激を学習してしまった結果なのです。
幼犬時代の社会化期(生後1~3か月頃)、特にその後半の体験が大きく影響しています。

社会化期に経験したことのないような目新しいものや見慣れないものに対する恐怖反応は、
その後ますます発達し、強化されていくと考えられます。

ある動物病院でとても痛くて不快な思いをした犬は、先生の姿を見るなり、
あるいは診察室に入っただけで、病院の玄関先に行っただけで、恐怖反応を示す場合があります。
「イヤ!じぇったいにイヤ!」。

特定の先生だけなら別の先生、別の病院という手もあります。
しかし、どの病院でも、どの先生に対しても恐怖心を持ち、何らかの恐怖行動をとることがあります。

これを“行動の般化”(ここでは恐怖行動の般化)といいます。
似たような刺激で同じ行動をとるようになり、行動が一般的になったという意味でこのようにいいます。

「動物病院は怖いところだ、注射が嫌なんだよなあ~」と学習し、さらに恐怖行動が般化した犬は、
病気・ケガなどのときも病院に連れて行けずとても困ってしまいます。

犬の恐怖行動は矯正するのが比較的容易だといわれています。
矯正が難しいとされている犬の習性が絡む支配的攻撃行動などとは異なっています。
同じ恐怖をさらに与えて、慣れさせることで矯正しようという飼主さんもいますが、
これはうまくいかないことが多いようです。

恐怖行動は、日常の生活の中で、徐々に、そして自然に消滅(消去)させることが一番です。
動物病院の先生を怖がる犬でも、楽しいことや安心させることを先生が与えてくださると、
徐々に恐怖心は解消していくものです。

先生が、「ああら、ボビーちゃん、今日はどうしたのかな?」と優しく声をかけてくれて、
ジャーキーの1本でもくだされば、恐怖心なんて吹っ飛んでいきます。

我が家の場合、冬馬は病院が大好きでした。
動物病院の自動ドアに元飼主さんの家の面影を感じていたようです。
ボビーも病院嫌いではありません。ただし病院に入るといつになく神妙にしています。

なかなか恐怖心が消去されない場合もあります。恐怖症です。
人の高所恐怖症、閉所恐怖症と同様です。

雷の音、交通の激しいところ、ある特定の人、恐怖症の対象はいろいろです。
恐怖症のきっかけは、そのことでケガをした場合、あるいはあまりに不快な経験をした場合が多いようです。

前回も書きましたが、「雷恐怖症の犬は飼主さんより同居犬を頼りにする」とのことです。
雷恐怖症対策にはもう一匹飼えばよい…ということで多頭飼育はいかがですか、楽しいですよ。

恐怖が誘発する攻撃行動の一番の被害者は5歳以上の男の子です。
被害数は女の子の二倍です。年齢層は5歳から14歳までといわれています。

幼稚園から中学校までの男の子は要注意です。犬にとって子供は大人とは全く異なる存在です。
特に男の子の行動は、やや乱暴ですし、突発的です。
その行動は、犬にとっては恐怖の対象にもなりますし、ちょっと脅してみたくもなります。

恐怖が誘発する攻撃行動の一番の被害者は5歳以上の男の子です。
被害数は女の子の二倍です。年齢層は5歳から14歳までといわれています。

幼稚園から中学校までの男の子は要注意です。犬にとって子供は大人とは全く異なる存在です。
特に男の子の行動は、やや乱暴ですし、突発的です。
その行動は、犬にとっては恐怖の対象にもなりますし、ちょっと脅してみたくもなります。

さて、我が家の犬達の恐怖心についてです。

冬馬は大きな交通事故に遭っていますので、トラックを極端に怖がっていました。
トラックが近づくと大きな体をそれはそれは小さくして隠れようとしていました。
他の犬達(ベス、ボビー、三四郎)はまったくの“のほほん”です。

しかし地震と雷だけは怖がります。
火事も怖がると思います。親父(つまり私)だけは舐めきっています。
「地震、雷、火事、親父」とはいきません。

Vol15に続く